とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
「…ごめんな、忍…」
「なにが?」
「残念だけど、まだお前を襲えない…」
「…それ謝る必要ないから…」
忍は苦笑してトレイを手に寝室を出ていった。
「…さて…」
右京は軽く室内を見回し、あちこち捜索する。
「…寝室はクリアか…」
ザッと見た感じではリビングにも何もなさそうだ。
ホッと胸を撫で下ろし、着替えを手にバスルームへと向かう。
「つか…マジで広いな…」
一人で入るには広すぎるバスルームを見て右京は「忍~!」と声を張り上げた。
「なぁに~?」
「風呂、一緒に入る?」
「入りません。馬鹿な事言ってないでさっさと済ませちゃって!買い物行きたいから…」
「初日からこれかよ…つれないなぁ…」
ブツブツと文句を溢しながら右京はシャワーのコックを捻るのだった。