とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
…今更あれこれ考えても仕方ないか。
あまり深く考え過ぎるとろくな結果にならない。
右京は頭からネガティブな思考を追い出し、これからの新生活を考える。
右京の準備休暇はあと3日程であったが、忍は来週からの勤務らしい。
「私、土地勘ないから迷うかも…」
「まぁ、いざとなったらニックに連れてってもらったら?」
右京の何気なく口にした言葉に忍は難しい顔をする。
「…右京は嫌じゃないの?」
「ニックの事?…そりゃ多少はね、色々考えるよ。でもアイツは馬鹿じゃない。」
「…なんだかんだ言いながら信頼してんだね…」
ニックとはそれなりに付き合いも長いし、信用はしているつもりだ。
だが、“信頼してるか?”と言われると、yesと即答し難い。
…何せ前科があるしな…。