とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~




窓辺に置かれたロッキングチェアに深く腰掛けて本を読む。



いつもは薄暗く感じるこの部屋も、今夜は満月であるお陰でかなり明るい。



軽く椅子を揺らしながら本のページを捲る。



ふと気配を感じてクドラクは顔を上げた。



『…思ったより早かったな…』



彼はゆっくりとした動作で手にしていた本をパタンと閉じると、視線を入口に向けた。



数秒後にそこから入って来た人物にクドラクはニッコリと微笑む。



『そろそろ来る頃だと思ってました。』



そう言われてムッと口を尖らせた不機嫌な元·堕天使…もとい右京は、彼の言葉を無視して手前のソファに腰を掛けた。



『…どうやらご機嫌が麗しくないようですね…』



『当たり前だ。…真っ直ぐ家に帰れば忍が居るのに、なんでお前に会いに来なきゃならんのだ…!』



文句を言いながらネクタイを緩める右京を、クドラクは楽しげに見つめた。



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