とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
『そうですね…仕方ないですよね、引っ越されたばかりですし。では私がそちらに行きましょうか?…今夜。』
以前クドラクが勝手に現れて以来、忍のクドラクに対する印象は最悪なのは明らかだ。
右京は仕事に早く戻りたいのもあり、『自分が行く』と言って早々に電話を切った。
行くと言ってしまった手前こうして来てみたが、不機嫌は隠しきれない。
『お前が脅しをかけたからだろ…?で、用はなんだ?』
『以前言っていた件です。やはり上は何かを隠してると思います。』
それがマスティマの事なのかが気になるが、クドラクははっきりと言わない。
…コイツ、知ってて言わないのか…それとも本当に知らないのか…?
右京はそれを探るように鋭い眼差しを向けたが、彼は全く動じなかった。