とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



使い魔同士の噂話がどの程度なのかは判らないが、このクドラクはかなりのポーカーフェイスだと思えた。



下っぱの下級悪魔と違い、頭も良く他人を欺くなんて事は容易いだろう。



何を考えてるのか判らないクドラクの貼り付いた笑みを見て、右京は小さく息を吐いた。



『まぁいい。…で、お前の上はそろそろ動き出すかもしれないのか?』



『勘ですが…。ただ、私達になんの命も下って来ないのをみると、もう既に裏では上が行動に出ている可能性があります。』



『…それも妙だな…。何故使い魔を介さない…?』



考えられるとすれば…悪魔側は事を急いでいる…?



『悠長に構えてられないかもな…。』



『直接上が行動に出たら、私は何も出来ませんよ。…まして貴方達に通じているのがバレたら自分の身が危険ですから。』



サラッとそう言うクドラクを右京は心底“喰えない奴”だと思った。




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