とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
『けど…上の事とはいえ、やはりコソコソされるのは私的にも面白くないです。』
右京は片肘をついてクドラクの様子見ながら『なるほど』と呟いた。
彼は自分がどんなポジションに居るかをちゃんと理解しているのだ。
上からやれと言われればそれに従うだろう。
どんな状況であろうと、何も知らずに使い魔である自分達が“捨て駒”として扱われるのが納得いかないのだ。
使い魔の意思なんてものは、あって無いようなものなのだから…。
『…かといって、何を出来る訳でもないんですけどね。』
そう言いながらグラスに赤い液体を注ぐと彼はゆっくり右京の前までやって来た。
『どうぞ。年代物です。』
差し出されたその液体を見て反射的に受け取った。