とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~




「ホント、信じらんない!!」



器用にお好み焼きをヘラでひっくり返した忍が、今日何度目かの“信じらんない”を口にした。



「だから、悪かったって言ってんじゃん…」



ぷりぷりと怒る忍に頬杖を着きながら右京が苦笑する。



お好み焼き屋の鉄板の前で、両手に持ったヘラを振り回して文句を言う忍。



右京を睨む彼女は、先刻の道端での情事を思い出してまた顔を真っ赤にした。



「だって駅前よ!?…しかもあんな…あ~恥ずかしい~!!」



当の右京はそんな自分を見て終始満足そうに微笑んでるし…。



右京が人目を気にするなんて事皆無だし、たとえそれが駅前だろうと家だろうと構わないのだ。



それは判っているのだが、さっきのあれは明らかに周りに見せつけるようなキスだった。



つい右京のペースに乗せられてしまった自分にも腹がたつ。


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