とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~


それを彼に言うと、右京はちょっと恥ずかしそうに囁いた。



「…それは誤解だよ…」



彼は忍の手を自分の胸に持って来ると、「…判る?」と艶っぽい低い声で聞いた。



「…俺…いつも忍を抱く時、スゲー緊張してんだよ…」



「でも、だいぶコントロール出来るようになったって…」



「そうじゃない。…そうじゃなくて…俺はお前を満足させられてるのか…とか、お前も俺と同じようにこの瞬間を幸せって感じられてるのか…とかね。」



忍は思いもよらない右京の言葉に胸の内側が熱くなった。



…幸せならいつも感じてるよ、右京…



そう思って居ても忍は素直に言葉に出来ない。



「…じゃあ…私を満足させてくれる?」



口から出た可愛いげのない言葉に右京は「努力する」と優しく微笑みながら答え…



二人はまたこの幸せの瞬間に漂い…溺れた…。



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