とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
よくよく考えてみると、忍と生活し始めてからは一度も暴走していない。
時々ベルセルクの事を忘れそうになるくらいだ。
右京は漠然とだが、もう自我を無くす事はないだろうと感じていた。
ただ、それは右京がそう感じているだけであって、忍は別だろう。
口にはしないが、きっと不安で仕方ないのかもしれない。
少し魘されたように小さい呻きを漏らす忍の頬を撫で、右京はそっと彼女の額にキスを落とした。
「大丈夫…もう暴れないよ。」
耳元でそう囁くと忍は微かに微笑み、スー…と寝息を立て始めた。
右京はそれを見て安堵の息を着く。
そして、頬を寄せ再び目を閉じた。
…今日は忍と思いっきり朝寝坊しよう…。
そんな穏やかな休日があってもいいじゃないかと考えながら…。