とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
そして彼の枕元まで来ると笑顔を貼り付けたまま、『ねぇ、ヒューガ』と囁くように声を発した。
『あなた…何の用があって“こっち”に来たんだったかしら…?』
『…ウリエル様の…右京の補佐で…』
『私の勘違いで無ければ、この屋敷にクロウは居ないわ。』
『あ、うん…そうだね…』
しどろもどろで答える彼には天使の品格すら感じられない。
他人が見たら軟弱な草食系にしか見えないだろう。
本来彼は別に気が弱い訳ではない。
ただ、リサを怒らせたくないのだ。
『…黄泉は今誰が…?』
『バージとクー·シー。』
『えっ!?バージも…!?』
思わず眉を寄せた虎太郎にリサが表情を一変させ、『何か?』と声のトーンを下げた。