とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
すぐにまたニコッとリサは微笑む…完璧なまでに美しい顔で…。
だが、虎太郎はその目が笑っていない事に気付きグッと言葉を詰まらせる。
…マズイ…!これは間違いなくめちゃくちゃ怒ってる…!
『私が今どう思ってるか判る?』
『…いえ…』
細くしなやかな指が彼の顎を捕らえた。
『…嘘が下手ね、ヒューガ…』
虎太郎の口からポロッと出た小さな嘘は瞬時に見破られる。
彼が嘘を付けないのをリサは知っているのだ。
『“貴方は私から逃げた”…そうよね?』
『に、逃げたっていうか…息抜きを…』
『“息抜き”ですって…?』
僅かに苛立ちが籠ったその声に、またもや虎太郎は何も言えなくなった。