とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
こっちに来る時も彼は色々考えたのだ…リサとの関係を…。
いつも彼女を怒らせる自分の不甲斐なさを反省してはいたものの、日に日に二人の間に出来た溝は深くなっていく。
『…リサ…俺はリサと喧嘩したくないんだよ…』
『何度もその台詞は聞いたわ!』
そうだ…何度も言ってきた台詞だ。
だがその度にリサから返って来る言葉はいつも同じだ。
『“なんで判らないの?”って言うんだろ?…本当に判らないんだ…君が何に苛立ってるのか…』
虎太郎がそう言うとリサは悔しそうに下唇を噛み締めた。
今にも泣き出しそうな表情の彼女に虎太郎は胸を鷲掴みにされたような気分になる。
『…リサ…泣かないで…教えてよ、なんでなのか…』
虎太郎は自分の胸ぐらを握ったまま俯くリサの頬をそっと撫でて囁いた。
『…俺が嫌いになったの…?』
ブンブンと首を振る彼女に安堵の息を吐く。
『…ごめんね、リサ…』
虎太郎は震える彼女の肩を引き寄せ、胸に抱き締めた。