とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



何が“ごめん”なのか判らないが、とりあえず謝る。



その方法でしか仲直りの仕方を知らなかった。



『またそうやって…!判らない癖になんで謝るの!?』



『なんでって…リサと喧嘩したくないから…』



『違う…ヒューガは間違えてる…!』



そう言われても彼には“何が違うのか”すら判らない。



けど、涙目で睨むリサを愛しく思う気持ちは間違えてない自信があった。



『…じゃあ、それも教えてくれる?』



『なんで私が…!』



そう言い掛けた彼女の唇に人差し指を当てて『しぃー…』と小さい声で制した。



『…後でちゃんと聞くから今は…キスをさせてくれない?』



虎太郎が優しく微笑むとリサは真っ赤になって返答に困ったらしく、口をパクパクさせた。



そんな彼女をグイッと引き寄せ、彼にしては珍しくちょっと強引なキスをしたのだった。


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