とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



それは数時間前の事。



署内の同僚がダンの肩を叩き、『お先に』と声を掛けた。



彼は今まで格闘していた書類の束から顔を上げ、時計に視線を移す。



『もうこんな時間か…』



…今日はP2に行くつもりだったから定時で上がるつもりだったのに…。



だが、最近細々とした事件が多く、報告書もなかなか片付かない。



時刻はもうすぐ19時になろうとしていた。



『残りは明日にまわすか~』



ひとつ伸びをしてジャケットを手に立ち上がる。



…と同時にデスクの電話が鳴った。



タイミング悪く課の奴等が出払っており、仕方なくダンは受話器を取った。



『…刑事課で合ってるかな?』



『…?…そうだけど?』



『アンタ、刑事さん?…“招待状”は届いたかな?』



『…“招待状”?…何の事だ?』



奇妙な事を言うその男の声に、ダンは嫌な予感がした。




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