とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~


「そういえばさ」と右京は二枚目のお好み焼きのネタを混ぜる。



「前に言った事覚えてる?」



「前?・・・なんだっけ?」



「“一緒に暮らそう”って話!」



突然そんな話が出て忍はドキッとして思わず箸を持つ手を止めた。



「お・・・覚えてる・・・」



でもあれっきりその話題は出なかったし、てっきりもう右京は忘れてしまったのかと思っていた。



「どぉ?考えてくれた?」



「ふぇっ?」



「言ってたじゃん!“考えておく”って。」



・・・私、そんな風に言ったっけ・・・?



チラリと右京を見るとじぃーっと自分を半眼で見ている。



「・・・なに・・・?」



「“そんな事言ったっけ?”って顔してる。」



「えっ!?・・・し、してないしてない!!」



「ふーん」っと口を尖らすと、右京はちょっと溜め息を付きながら混ぜていたそれを鉄板に流し入れた。



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