とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
閑散としたロビーには受付のバイトと年老いた清掃員が居るだけだった。
周囲を見回すダンをバイトの青年は不審そうに睨む。
『お客さん、チケット買って…』
『警察だ。』
青年の鼻先に警察手帳を突き付け、ダンはお構い無しにズカズカと進んで行く。
重たそうな扉の向こうからは上映中の映画の音が微かに聞こえた。
『…上映は何時まで?』
『さっき開始したばかりだから…0時です。』
…0時…あと2時間か…
ダンはロビーに設置されている監視カメラを指差し、『モニター室は?』と尋ねた。
『奥に…。でも誰も居ませんよ?』
『はぁ!?営業中だろ!?』
『はい。いつもはいますけど、今日はミッドナイトなんで最終の上映時は監視員は居ないんです。…あ、でも後でちゃんとチェックしますから問題はないです。』
…問題ない…?馬鹿野郎、大ありだ…!
ダンは苛立ちながらモニター室へと向かった。