とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
そんな真面目な警備係だが、ここ最近になって何故か金曜日だけは残業を拒んだのだ。
店長は困ったように頭を抱え、最終的に受付のバイトである彼に残業を持ち掛けた。
『君…ミッドナイトが終わるまで残業してくれないか?』
最初は渋ってみたが、彼にとって悪い話ではなかった。
別に彼女が居るわけでもないし、遊びに行く相手すらいない。
むしろ真っ直ぐ帰って家に居る事の方が苦痛だ。
『深夜手当…出るんですよね?』
『もちろん!いや~助かるよ!』
そうして店長はモニター室は全て録画するから問題ないと彼に説明した。
翌日、モニター室から内線が鳴った。
『店長から聞いたよ。金曜代わりに出てくれるんだって?』
『ああ、そんな事か。気にすんなって!丁度稼ぎたかったんだ。』
『ならいいんだけど…ありがとう。』
感謝の言葉なはずなのに、彼の口調は全く感情がないように感じた。