とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
あの時の会話を思い出し、青年は密かに思う。
…まさか、こうなることを知っていた…?
だがすぐに頭をブンブンと振った。
感情がない話し方をするヤツだったが、仕事においては真面目だった。
こんな警察沙汰になるような事をするような人間じゃない。
隣に居る店長はただオロオロとするばかりだ。
『お、おい、あれはなんだ!?』
『店長、落ち着いて。…であれって?』
『ほら、あの顔の解らない奴等だよ…!』
機動部隊だか特殊部隊だか解らないが、静かに待機している数名の集団…。
『なんでしょうね…。SATか何かですかね…。』
『ええっ!?な、なぜ!?』
『なぜって…』
…なぜだ?状況はそんなに深刻なのか?
今まで野次馬のように辺りを好奇の眼差しで見ていた彼だったが、急に不安になってきた。