とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
そこにはあの時救出された観客の人数は18人と書かれており、ダンの記憶は間違っていない事が解る。
『それからあなたはどうしました?』
『まず部下を待機させて…俺が奥へ…。』
ふとダンが眉間に皺を寄せた。
『映画の音がうるさい…。…ああ、SF映画のアクションシーンか…。』
確かにあの日の上映中だったのは近未来が舞台のSF物だ。
彼の言葉と報告書の内容を照らし合わせながら、彼の話しに耳を傾ける。
『…あれは…なんだ?』
『…何か見えましたか?』
『はい…スクリーンの端に“影”が…!』
『…!?…そ、それが何の影だか解りますか?』
『…映写機の前に何か…人か!?』
…映写機の前に人!?
その状況がイマイチ掴めない。
思わず身を乗り出し、ベッカーは彼の言葉を待った。