とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



『…妙だ…観客の様子がおかしい…』



『どんな風に?』



『皆ぼーっとして、まったく動かない。…俺が部下に出口を確保するように指示を出して…駄目だ…!開かない!』



『…!?閉じ込められた!?』



つまり犯行予告は罠だったということだろうか。



彼はそんな窮地に居たはずなのに焦っている様子がないのが気になった。



…何故だ!?



『…来た…。』



『え?何がです?』



『“ヒューガ”と“クロウ”だ…!』



ダンは嘲笑しつつ『また派手に…』と呟く。



突然ゲラゲラと笑い出したダンにベッカーは驚き『どうしました!?』と声を掛けた。



『いや、相変わらず容赦ないなと…あっ!影が!』



忙しく変わるダンの様子にベッカーは着いていけず、ただ唖然としていた。




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