とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
それからダンは突然叫び声とともに目を見開き、ベッカーは直ぐ様催眠を解くと彼に駆け寄った。
『ダン!?大丈夫ですか!?』
荒い呼吸を繰り返しながら力なく『大丈夫』と囁く声にホッとする。
『…あの時の事を思い出しました…“招待状”は“彼”宛てだったんだ…』
『だ、誰なんです!?』
そう問うベッカーにダンはまるで睨みつけるように目を向けた。
が、ここまで来て引くわけにはいかない。
目を逸らしたら何も判らないままな気がした。
負けじとダンの力強い瞳を見詰め返す。
しばらく無言が続き、ダンは彼を試すように声を発した。
『…今から私が話す声を信じますか?』
『もちろん!』
なぜなら、彼は嘘をついていないのがわかったから。
『…ではあの時の事と“彼”についてお話ししましょう。』
ダンはそう言って目を閉じベッカーに全てを打ち明けた。