とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



それからダンは突然叫び声とともに目を見開き、ベッカーは直ぐ様催眠を解くと彼に駆け寄った。



『ダン!?大丈夫ですか!?』



荒い呼吸を繰り返しながら力なく『大丈夫』と囁く声にホッとする。



『…あの時の事を思い出しました…“招待状”は“彼”宛てだったんだ…』



『だ、誰なんです!?』



そう問うベッカーにダンはまるで睨みつけるように目を向けた。



が、ここまで来て引くわけにはいかない。



目を逸らしたら何も判らないままな気がした。



負けじとダンの力強い瞳を見詰め返す。



しばらく無言が続き、ダンは彼を試すように声を発した。



『…今から私が話す声を信じますか?』



『もちろん!』



なぜなら、彼は嘘をついていないのがわかったから。



『…ではあの時の事と“彼”についてお話ししましょう。』



ダンはそう言って目を閉じベッカーに全てを打ち明けた。




< 327 / 476 >

この作品をシェア

pagetop