とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
◇
目の前の銀髪は背もたれに両腕を置き、『なるほど。』と呟く。
『…で俺に聞きに来たってか?』
『まぁね。…あの時俺は影が実体化したのを確かに見た。その後、スクリーンが炎上した…あれは君の仕業か?』
『…あの映画で観客が暗示にかけられてるって言うんでね。』
『暗示…一体なんの為に?』
『俺を誘き寄せるエサだろうな。』
さらっとそう言って肩を揺らしてクスクスと笑う銀髪に、ベッカーは躊躇いがちに口を挟んだ。
『ほ、本当に“紅い瞳”は君なのかい?』
すると銀髪の彼は立ち上がりベッカーを振り向いた。
軽く長い前髪を掻き上げた。
『…これでどうだ?』
それは綺麗な瞳だった。
まるでそれそのものが光を放つように…。
左目は翡翠色だが右目は燃えるような深紅。
…この青年は以前からこんな瞳だっただろうか?
目の前の銀髪は背もたれに両腕を置き、『なるほど。』と呟く。
『…で俺に聞きに来たってか?』
『まぁね。…あの時俺は影が実体化したのを確かに見た。その後、スクリーンが炎上した…あれは君の仕業か?』
『…あの映画で観客が暗示にかけられてるって言うんでね。』
『暗示…一体なんの為に?』
『俺を誘き寄せるエサだろうな。』
さらっとそう言って肩を揺らしてクスクスと笑う銀髪に、ベッカーは躊躇いがちに口を挟んだ。
『ほ、本当に“紅い瞳”は君なのかい?』
すると銀髪の彼は立ち上がりベッカーを振り向いた。
軽く長い前髪を掻き上げた。
『…これでどうだ?』
それは綺麗な瞳だった。
まるでそれそのものが光を放つように…。
左目は翡翠色だが右目は燃えるような深紅。
…この青年は以前からこんな瞳だっただろうか?