とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~




『なんつーか…特異体質でね。』



…“特異体質”…?



オッドアイの事例は幾つか知っているが、ここまで紅い瞳は見た事がない。



『…で、君がスクリーンを燃やした…その後は?』



『一緒にいた“相棒”が観客に暗示をかけなおした。』



“相棒”と聞いてダンの言葉を思い出す。



『…“純白の羽根”…』



長い銀色の前髪の奥でオッドアイが驚いたように見開かれた。



そしてその瞳が『おい…』とダンを睨む。



『お前、どこまで話してんだよ…』



『いや、不可抗力だよ。…なんせ催眠状態だったし…』



はぁ…とため息溢し、『とにかく』と彼は続けた。



『ヤツがそれに気付いて暴れだして、爆発が起きたってわけ。』



『…じゃあ、爆弾じゃないのかい?』



『あ~?違う違う!鑑識も出火場所、わからなかったろ?』



その通りだ。



だから警察はあの事件の渦中にいたダンから真相を聞きたがっているのだ。




< 329 / 476 >

この作品をシェア

pagetop