とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~




その日の夜、伯爵邸を訪れた右京を出迎えたのはリサだった。



『…あら、もう来ちゃったの?』



彼女は開口一番彼にそう言うと、『こっちよ』と右京を招き入れた。



『…悪かったな、来ちゃって。』



ムッと口を尖らせた右京にリサは『別に』と何食わぬ顔で答えて薄暗い廊下を歩く。



『そういえば、お前虎太郎をあんま悩ますなよ?』



『そんなつもりはないわ。ヒューガが勝手に悩んでるんじゃない。』



『そうだけどさ…。なんつーか、アイツ変なとこ真面目だからさ~』



『…そうなのよねぇ…。』



思わず同時にため息をついてしまい、二人は顔を見合わせて笑う。



『まぁ、元気そうで安心したよ。』



『私もよ。てっきり死んだかと思ってたもの。』



相変わらずの毒舌に右京は『んだと!?』とお決まりの台詞を吐く。



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