とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



確かにルシファーとの一件は、右京が死んだとしてもおかしく無かった。



今思い返すと、運が良かった訳ではなく、自分は“生かされたのでは?”とさえ思える。



そんな右京の内心を知ってか知らずか、リサは珍しく柔らかい笑みを浮かべ、『また会えて嬉しいわ』と微笑んだ。



『…お前、変わったな…』



『そぉ?』



『ん。…そんな表情出来るんだな…。』



『…?…意味わからない…』



どうやら無自覚らしい。



…虎太郎の影響か…。



だが敢えて彼女には言わなかった。



プライドが高いリサが否定するのは判っていたし、他人の事にそこまで口出しするのも右京的にはあまり好きではない。



正直、あの虎太郎がこの局面を巧く切り抜けられるのかも怪しいが…。



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