とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~




右京がその部屋に入ると、虎太郎が振り返り手招きした。



アンティークの円形テーブルには既にダンとベッカーがおり、何故かクドラクまでもが鎮座している。



『やっといらっしゃいましたね。』



『ん。…つか、お前関係なくねぇ?』



『私の事でしたらお気になさらずに。ただ飲みたいだけなので…。』



軽くグラスを掲げて彼は青白い顔で妖艶に微笑む。



席を外す気はないらしいが、一応この舘の主でもある。



ベッカーの前で彼の正体を明かす訳にもいかず、右京は諦めた様に虎太郎の隣に座った。



『クロウも来た事だし、本題に入ろうか。』



そう言ってダンはワイングラスを静かにテーブルへ置いた。



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