とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
『あまりダラダラと回りくどいのは嫌いだ。簡潔に頼む。』
クドラクからグラスを受け取りながら右京が言うと、ダンは頷いて口を開いた。
『ドクターをメンバーに加えたい。』
今、口を含んだばかりのワインをぶぅーっと噴き出す右京を虎太郎が半眼で睨んだ。
『おまっ…本気か!?』
『本気だ。…で、アランにどう切り出したらいいか迷ってる。』
『俺は反対だ!これ以上人を危険に晒すだなんて…!』
『クロウも判ってるだろ!?彼は既に危険な立場にあるじゃないか!』
『次元が違う!…虎太郎。』
右京がチラッと虎太郎に目配せすると、彼は立ち上がってベッカーの背後へ回る。
『なっ…何です!?』
『すみませんね、ドクター。“消させて頂きます。”』
『は…ははは…また、そんな冗談を…』
蒼白になるベッカーは右京の鋭いオッドアイが揺るがないのを見て、ゴクリと唾を飲んだ。