とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
『ドクターは俺が“神に仕えし悪魔”だと思ってんでしょ?残念だけど答えは“no”だよ。』
だが右京は直ぐに『あっ!でも…』と少し考えるような仕草をした。
『…あながちハズレでもないかな…“悪魔”みたいなもんだろうし…。』
『えっ!?』
『やだなぁ、右京。こんな人間くさい悪魔なんて聞いたことないよ。』
『俺もヒューガと同感だ。お前よりアランの方がよっぽど悪魔みたいだしな?』
『あはは!言えてる~!』
空気が和やかなものに変化してもベッカーの混乱は増す一方だった。
それに気付いた右京はテーブルに肘を着くと、先程とは別人としか思えない柔らかい笑みを浮かべた。
『俺らには秘密があるんですよ、ドクター。』
『秘密?…どんな?』
『それを話す前に、まず“神に仕えし悪魔”について話さないとね。』
それから右京はあの日、シアターでの事件の一部始終を語った…。