とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
シアターの最低限の灯りしかない薄暗い廊下は目立たなくてありがたい。
シンディご自慢の黒い上着も右京達の姿をうまく隠してくれた。
『ロイ。カメラは?』
『大丈夫。細工済みだ。』
…まったく、いつもながらいい仕事をしてくれる。
言わなくても特攻二人をバックアップしてくれるP2メンバーに心の中で感謝した。
素早く移動してシアターの入口まで来ると、右京は取手に手を掛けたがびくともしない。
仕方なく右京は右手をかざした。
─バチンッ…!
『…なっ!?…弾かれた…!?』
微かに火花が散っただけで傷すら付いていない。
と、虎太郎が『居る…』と呟いた。
…まずいな…
『別ルートだ!急ぐぞ!』
…確か業務員通路に非常口があったはずだ。