とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



廊下を進むと、非常口付近に爆弾処理班が待機しているのが見えた。



『俺が行く。』



右京の脇をすり抜け、虎太郎が歩いて近付く。



それに気付いた彼等は慌てて拳銃に手を掛けた。



─パチンッ…!



虎太郎の指を弾く音で一同はピタリと動きを止め…



『退避命令だ。30秒以内に建物から出ろ。』



ゾロゾロと引き返す集団を見送って、虎太郎は右京に合図を送る。



非常口の扉はすんなりと開き、中からは映画の爆音が聞こえた。



…居た!



『ターゲット確認。』



宙に浮くそれは意外にも小さい。



『右京、様子が変だ。』



『見ろよ』と言われ、虎太郎の視線を追う。



客達の虚ろな目に気付いて洗脳されているのが解った。



『どうやった…?』



『映画だよ。…あれ、なんとかしてくれ。じゃないと暗示がかけ直せない。』



『まかせろ』と短く答え、右京はスクリーンの端へと移動した。




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