とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
スクリーンの端に手を伸ばすと指先が熱く発光し始め、そっと触れると一気に炎上した。
が、次の瞬間地響きと共に天井が崩れ出す。
振り返った右京の目にダンが見えた。
そして彼の上に落ちる鉄筋も…。
『ダン!』
考えるより身体が勝手に動き、床を蹴って彼を抱えて座席の隙間に滑り込む。
グッタリとした彼を見て、震える手で首に触れると脈を感じてホッと胸を撫で下ろした。
…虎太郎は!?
フロアの中央に純白の羽根が客達を包む様に舞い、その傍に大きな4枚の翼が見えた。
『…何故、人間を庇う…?』
頭上から突如聞こえた声に右京はハッと顔を上げた。
『…お前、マスティマだろ?なんで人間を巻き込む!?』
『…可笑しな事を言う…。我の行いは神の御意志。』
…クソがっ…!
無表情のまるで子供みたいな幼い顔でそう言う悪魔に、右京は内心悪態を付いた。