とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



瞬きすらせずマスティマは微かに視線をだけ動かす。



そしてギロリと右京を睨んだ。



『…それが答えか?』



『…忍に手を出してみろ…たとえそれが“神”だろうと、俺は絶対に許さない。』



マスティマを睨み返し右京は断固言い放つ。



虎太郎…もといハニエルでさえそこに入れない程の重い空気が漂っていた。



右京の傍らでダンが呻き声を発して一瞬そちらに視線を落とした。



その僅かな隙にマスティマは霧のように姿を消した…。



ふと外が一層騒がしくなり、マスコミが動き出した事に気付き、虎太郎は駆け寄ると右京の肩を叩いた。



『右京、引こう…!』



『…あぁ、そうだな…』



辺りを見回し、怪我人はあったが命を落とした者がいないのを確認すると二人はその場を離れた。─




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