とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~




右京の話を黙って聞いていたベッカーは未だ混乱気味に口を開いた。



『…つ、つまり“神に仕えし悪魔”は…その“マスティマ”だと…?』



『ああ。アイツは神の命令なら簡単に人を殺めるだろうな…。』



『神の…命令で…人間を殺す…?』



そんな話があるだろうか?



人間は神を崇め信仰してきた。



その神が力を手に入れる為に人間殺す…!?



…それじゃまるで…!



『…言ったろ?神は人間を都合のいい駒としか見ていない。』



思考を読んだ右京の言葉にベッカーは『そんな…』と呟く事しか出来なかった。



『神は…ゼウス様は間違っている…!』



右京はゼウスに従うつもりは毛頭ない。



だが、そのせいで仲間に危険が及ぶのなら…とも考えたが、すぐにそれを否定する。



…従ったとしてもきっと人間を殺めるだろう…。



神にとって人間は“捨て駒”なのだから…。



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