とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
『最近忍さんのとこに良く行くの?』
『ん。…ヒューガ居ないと暇だし…』
しばらく沈黙が続き、リサは聞きたい事を口にしようか悩む。
先に『あのさ…』と言葉を発したのは虎太郎だった。
『リサは俺を避けてる?』
『えっ!?避けてないわよ!?』
『じゃあ、なんで行き先言わないで出掛けるの?』
キョトンとしたリサを少し頬を染めた虎太郎が横目で見た。
『…別にすぐ帰るつもりだったし…』
『それでも!…それでもそのくらい話して欲しいと思うよ。』
まさかそんな事を言われると思っていなかったリサは返す言葉に困る。
『…判ってるよ、こんなの俺のワガママだって…。』
…ワガママ…
今まで虎太郎から“ワガママ”を言われた事があっただろうか?
『…嬉しい…』
『なにが?』
『ヒューガのワガママ…』
更に顔を赤くする虎太郎の腕にギュッとしがみつくとリサは彼を見上げた。