とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
その視線が虎太郎と交わってちょっと彼がリサに顔を近付けた。
…あ…キスされる…
軽く目を閉じそれを待っていると額にチュッと唇の感触。
『………ねぇ…』
『ん?』
『なにそれ。』
『キスだろ?』
リサは虎太郎の腕を思いっきり振りほどくと、不満げに睨みプイッと顔を反らした。
リサはスタスタと早足で歩くが、背の高い虎太郎にすぐ追い付かれる。
更にスピードを上げて引き離そうとするリサに虎太郎はクスクスと笑い出した。
『リサ~!待てって!』
彼女の腕を掴んで引き寄せ、何か言われる前に虎太郎はその口を唇で塞いだ。
『…ちょっと右京の気持ちが解った。』
『はぁ?なんでクロウが出てくるのよ!』
虎太郎はリサの耳元で囁く。
─“今すぐ君を抱きたい”
その囁きに真っ赤になったリサの手を引いて虎太郎は歩き出した。
『早く帰ろう。』
そんな彼にリサは『バカ』と呟いて、繋いだ手に力を込めた。