とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~




…不思議だ…。



今出来上がったばかりのX線写真を眺めてベッカーは首を捻る。



『何か異常ある?』



『…君はおかしな事を聞くね~。異常があるかを聞くんじゃなくて、正常な所があるかを聞いて欲しいよ。』



『じゃあ…正常な所はある?』



『皆無だよ。』



『ええっ!?』と驚いた右京がベッカーの脇から顔を出してX線写真を覗き込んだ。



が、すぐに『よくわかんねぇな』と言うと診察室のベットにドカッと座った。



『何がおかしいの?』



『臓器は問題ない。多少配置がずれてるが、ちゃんと機能してるしね。けど…』



…この骨格はなんだ?



肋骨の数も多いし、普通の人間より太い。



もっとおかしいのは肩甲骨だ。



骨折したのか変形したとしか言えないその歪な形をベッカーは食い入るように眺めた。




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