とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
『あとは血液検査だね。』
『ありがとう、専門外なのに…。』
『これくらいなら御安いご用だよ。』
ベッカーは若い看護婦に採血を指示し、その間に診断書を書いた。
─“異常なし”と…。
『素敵なタトゥーね~』
『あぁ…ありがとう。』
『似たようなタトゥーを最近のミュージシャンがしてるわよね?もしかしてファン?』
『…いや?』
『あら、そうなの?』と看護婦が答えると右京は急に何かを考え込んでるように見えた。
『Mr.クロサキ…?どうかした?』
『へっ?…いや、なんでもないよ。』
『そうかい…?あ、血液検査の結果は追って連絡するよ。診断書はその結果と一緒に渡すからね。』
『ありがとう。じゃあ、俺、仕事行くわ。』
ちょっと伸びをしてそう言うと彼は診察室を出て行った。