とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
「おはよ、忍。…具合どぉ?」
「…おはよ…少し頭痛い…」
「病院行くか?」
ちょっと眉間に皺を寄せて辛そうな顔をした忍を、右京が心配そうに覗き込んだ。
「そこまでじゃないかな…」
「今テレビで言ってたけど、新型ウイルスかもしれないよ?」
「そうなの…?…判った…行く。」
素直に言うことを聞いた彼女をヨシヨシと撫でると右京はタクシーを呼んだ。
…こういう時、車欲しいな…。
免許自体は持っていても肝心な車が無くては意味がない。
だるそうに起き上がった忍を着替えさせ、病院に向かう。
「仕事は…?」
「遅刻するって言ってある。仕事より忍が大事。」
とは言ったものの休めなかった事が申し訳なくて「ごめんな?」と忍を引き寄せた。
忍は彼の過保護ぶりに呆れていたが、右京としてはこれでも足りないくらいだった。