とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



廊下で待って居た右京に話すと「ストレス…」と呟いて黙り込んだ。



帰りのタクシーの中で彼は「あのさ…」と思い切った様に忍に話し掛けた。



「ストレスの原因って…俺?」



「さぁ…でも右京にストレスなんて今更だし、違うと思うよ?」



彼は「そうか」とホッと息を吐き、ややあってから「…ちょっと待て」と忍を睨む。



「…“今更”ってなんだ…?」



「“今更”は“今更”よ。貴方程思い通りにならない人は居ないわよ…」



酷い言われ様である。



ちょっと不機嫌な顔をした右京は「よし、わかった!」と忍に向き直る。



「忍が全快したら丸一日お前の好きなようにしてやるよ。」



「また意味のわからない事を…」



「…俺を独占したくない…?」



苦笑する忍を覗き込んで右京は少し艶のある声で囁いた。



そんな右京に目眩を感じたのは具合が悪いせいか…。



忍は真っ赤な顔を俯かせ、コツンと彼の肩に頭を乗せた…。



< 382 / 476 >

この作品をシェア

pagetop