とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
廊下で待って居た右京に話すと「ストレス…」と呟いて黙り込んだ。
帰りのタクシーの中で彼は「あのさ…」と思い切った様に忍に話し掛けた。
「ストレスの原因って…俺?」
「さぁ…でも右京にストレスなんて今更だし、違うと思うよ?」
彼は「そうか」とホッと息を吐き、ややあってから「…ちょっと待て」と忍を睨む。
「…“今更”ってなんだ…?」
「“今更”は“今更”よ。貴方程思い通りにならない人は居ないわよ…」
酷い言われ様である。
ちょっと不機嫌な顔をした右京は「よし、わかった!」と忍に向き直る。
「忍が全快したら丸一日お前の好きなようにしてやるよ。」
「また意味のわからない事を…」
「…俺を独占したくない…?」
苦笑する忍を覗き込んで右京は少し艶のある声で囁いた。
そんな右京に目眩を感じたのは具合が悪いせいか…。
忍は真っ赤な顔を俯かせ、コツンと彼の肩に頭を乗せた…。