とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
…間違いない…アイツだ。
右京と酷似したタトゥーは紛れもなく“契約証”…。
その証拠に彼の耳で紫色のピアスがキラリと煌めいていた。
同時にそれは彼がただの人間ではない事を表す。
…ただの能力者か、それとも…。
小さくチッと舌打ちする右京の隣で忍が歓喜の雄叫びを上げた。
思わず「お前、誰!?」とツッコミを入れる彼に忍はキラキラと潤んだ瞳で右京を見上げた。
「だって…だって!きゃーーっ!!テリーー!!」
…“きゃーっ”ぢゃねぇよ!!
2時間近くそんな調子で発狂し続けた忍は、ライヴが終わる頃にはぐったりだった。
「…疲れた…」
「そりゃ、病み上がりであれだけ発狂したら疲れるわな…」
右京は半ば呆れて忍に「そこで待ってろ」と言うと、少し離れた場所に停めてあるバイクを取りに行った。