とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



『“ウキョウ”…?変わった名前だね。』



『お前には関係ない。』



『ふ~ん…』と意味ありげに頷く彼に右京は『あんた名前は?』と聞いた。



『俺を知らないの?“vale”のアダムだよ。』



睨み合う二人に忍はオロオロとして右京を引っ張った。



右京はチラッと忍を振り返ってから彼を一睨みしてクルリと背を向けた。



「そこに居ろって言っただろ?」



指先で額を弾いてそう言う右京だが、いつもの軟らかい口調にホッと胸を撫で下ろす。



『“またね”…ウキョウ。』



背後からそう言われたが右京は何も答えなかった。



忍はアダムに申し訳なさそうに微笑むと右京の後を追う。



『なるほど…。あれが“ベルセルク”か…。』



二人を見送ってアダムは不敵な笑みを浮かべた。



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