とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~




彼は来客を報せるベルの音で目を覚ました。



怠い身体を起こし、ゲホゲホと咳き込みながら玄関へと向かう。



うるさく鳴り続けるベルのせいで彼の頭痛は増すばかりだ。



よろよろとふらつきながらやっとの思いで入口を開けた。



『よぉ、ニック!生きてるか?』



『ご覧の通り、死んでるよ…』



そう言って咳き込むニックをオッドアイが見下ろす。



『…馬鹿でもひくんだな?』



『知らなかったぜ』と真剣に言われたが、残念ながら言い返す気力も無い。



ニックは右京を無視して寝室のベットにパタリと倒れた。



『いつから具合悪いんだ?』



『先週…。お陰で原稿が間に合わない…。』



『らしいな。忍が言ってた。』



右京はベットの傍にある椅子に座るとニックを覗き込んだ。




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