とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



『どうせならもっと早く来て欲しかったよ…』



『あぁ…い、色々あってね…』



…言えない!“ニックの事を忘れてた”なんて…!



先週からP2に顔を出さなかった彼を誰も気に止めていなかった事実を思い返し、右京は言葉を濁した。



右京がそれを知ったのもつい先日だった。



しかもベットで微睡みながらの忍との会話で思い出したのだ…ニックの存在を。



『まぁ、ドクターが言うには死ぬ事はないらしいから!』



『クロウ…それは慰めの言葉じゃないよね?』



『ちゃんと心配してるぜ?』



苦笑してそう言うと、右京は持って来たリンゴを器用に剥き始めた。



『ほら』とフォークに刺したリンゴを差し出され、ニックは素直に受け取り一口かじる。



『優しいな…』



『忍命令だからな。』



なるほど…と呟いて彼はゲホゲホとまた咳き込んだ。



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