とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



ニックは頭を動かして右京を見た。



『…それだけじゃないだろ?』



『バレたか…実はちょっと気になる事があってさ…。』



新しいリンゴを取り出して手の平で転がしながら呟く。



『今回のパンデミックは仕組まれたのかもしれない。』



『…何故そう思う?』



『契約者を見つけたんだ。』



『“契約者”?』



右京と同じ契約証を持つアダムの話をすると、ニックは目を閉じて何かを考えているようだった。



暫くしてニックは『もしかしたら』と右京に視線を戻した。



『ティタノマキアと関係してるんじゃないか?』



『パンデミックが?』



それらがどう繋がるのかが解らず、右京は首を傾げた。



『例えば…』とニックは仮説を語る。



それを聞いた右京は表情を強張らせ、弾かれように出て行った。



< 416 / 476 >

この作品をシェア

pagetop