とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
ニックは頭を動かして右京を見た。
『…それだけじゃないだろ?』
『バレたか…実はちょっと気になる事があってさ…。』
新しいリンゴを取り出して手の平で転がしながら呟く。
『今回のパンデミックは仕組まれたのかもしれない。』
『…何故そう思う?』
『契約者を見つけたんだ。』
『“契約者”?』
右京と同じ契約証を持つアダムの話をすると、ニックは目を閉じて何かを考えているようだった。
暫くしてニックは『もしかしたら』と右京に視線を戻した。
『ティタノマキアと関係してるんじゃないか?』
『パンデミックが?』
それらがどう繋がるのかが解らず、右京は首を傾げた。
『例えば…』とニックは仮説を語る。
それを聞いた右京は表情を強張らせ、弾かれように出て行った。