とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
クロスで眼鏡を拭いてかけ直したアランは『ということは…』と一冊のファイルを取り出した。
『バチカンからの要請を受けるしかないか…』
ブツブツと独り言を言いながらファイルを開いて右京に手渡す。
そこに書かれている文面を読み、“UMA”の文字で目を留めた。
『…“UMA”…?』
つまり、未確認生命体の事だ。
『本当はこの依頼は蹴るつもりだったんだが…』
『うん…関係あるのか?』
『勘だけどね。』
…勘…。
アランの勘ほど当たるものはない。
彼はPCを叩いてスクリーンに地図を表示させた。
『バチカンから“UMA”について調べて欲しいと要請があった。目撃情報があった場所はイギリスで数ヶ所。一貫性がなくバラバラだ。』
彼の言葉通り、地図のポインタは見事なくらいイギリス全土に散らばっていた。