とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~




大学の授業を終えて屋敷に帰って来た虎太郎は、エントランスでふと足を止めた。



何処からか微かに音楽が聴こえる。



『おかえりなさいませ。…虎太郎さん、どうしたんです?ぼーっとして…。』



何処から持って来たのか、特大サイズのツリーを設置していたクドラクは不思議そうに虎太郎を見詰めた。



『なんか聴こえる…?』



『あぁ、あのセイレーンですよ。』



クドラクが言うにはここ最近リサはよく音楽を聴いているらしい。



『ヘッドホンくらいして欲しいですよ…私はあの手の音楽はあまり好きじゃありません。』



『音楽はクラシックだ』とか話し続けているクドラクに適当に返事をしながら、虎太郎は螺旋階段を上がる。



『リサ?』



『あ!おかえり、ヒューガ!』



ベットの上で寝そべったままリサは振り返って微笑んだ。



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