とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
こんな自分を見たら右京に『甘過ぎる』と言われるだろう。
だが、リサがこうやって甘えて来てくれる事が嬉しくてなんでも『いいよ』と言ってしまうのだ。
『…で、誰が歌ってんの?』
『ヴォーカルはテリーよ。とても素敵な曲よね~』
『ん~…でも、リサの歌の方が俺は好き。』
セイレーンなのだから当たり前なのだが、彼女は『ありがとう』と笑う。
…うんうん、今日は機嫌がいいな。
『リサのステージはいつ?』
『ヒューガがお望みならいつでも歌うわよ?』
『じゃあ歌って…なんでもいいから。』
リサはクスッと笑ってベットから飛び降りるとスカートの裾を揺らして振り返る。
『じゃあ、今聴いてた“vale”の新曲で…』
『うんうん……………待った!』
歌い出そうとしたリサは出鼻を挫かれムッと口を尖らせた。
『誰の曲だって!?』
『“vale”よ!』
そこでやっと自分が大失敗をしたことに気付いたのだった。