とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
…とはいえ、今更仕方ないか…。
右京は窓辺に肘を着いて列車の外の景色に目を向けた。
ふと、携帯のメール受信を報せる音に気付いてポケットを探る。
メールはアランからでライヴハウスの見取図が添付されていた。
「虎太郎。ライヴは何時開始だっけ?」
「18時。」
「18時か…まだ人通りの多い時間だな…」
「どうする?」と言う虎太郎に右京は暫く考え込む。
「恐らく契約者と悪魔が別の場所に出現する。…お前ならマルバスが判るよな?」
ならばマルバスを追うのは虎太郎の方がいいだろう。
問題は契約者だ。
…どう接触する…?
相手は人気バンドの一員。
容易に近付くのは難しいかもしれない。