とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~


モニターに点滅するポインタはライヴハウスの裏手にあった。



別のモニターに監視カメラの映像を表示させ、忙しくそれらを交互に確認する。



『クロウ、そこは駄目だ。東側に回れ。』



『ラジャ。』



ライヴハウスの東はやっと人が一人通れるくらい細い。



『二階の端に窓は見えるか?そこが倉庫らしい。』



右京は壁の縁に足を掛け、『よっ!』と軽々登る。



ロイに言われた窓はかなり小さかったが鍵は掛かっていなかった。



するりと身を滑り込ませるとロイは『まだそこを動くなよ』と指示を出した。



と、虎太郎の『ターゲット到着』という声がして右京は小さく舌打ちをした。



…思ったより早いな…。



だが、ロイは『チャンスだな』と呟いた。



『ゲストのお出迎えだ。二階の廊下が手薄になってる。』



それを聞いて右京は静かに倉庫から廊下へと出て行った。



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