とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



ポケットから取り出したキャップを深く被って堂々と移動する。



途中スタッフとすれ違うが、慌ただしく動く彼は右京に気を留める事は無かった。



舞台裏まで来ると真上を見上げ、天井付近にある鉄筋が目に入った。



『スタッフが戻ってくるぞ!…急げ!』



…判ってるっつーの!



右京は足元から風を巻き起こすと、一気に鉄筋まで有り得ない跳躍をする。



彼が鉄筋に飛び乗ったと同時に、スタッフが舞台裏に入ってくる映像を見てロイはホッと胸を撫で下ろした。



『ヒューガ。外の様子は?』



屋上でスタンバイをしている虎太郎は少し身を乗り出して入口の様子を伺う。



『だいぶ人が増えたな…。』



時刻はまだ17時手前であるにも関わらず、入場を待つ人々が長蛇の列を作っているのが見えた。



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